2011年7月16日土曜日

蘇轍

第二回に登場する、北宋の文学者。一般的には、同じく文学者でもあり政治家でもあった蘇軾の弟として有名である。蘇軾は号を東坡居士といったため、蘇東坡とも呼ばれる。政治家としても施政官として善政を行った記録が残っており、教科書には旧法党の士大夫としての名前も残っているが、特に詩人としての名声が高く、現代日本にも多くのファンを擁する、軍人以外では極めて稀な人物である。同時に詞の大家でもあり、現在でも宋代の文学者としては最高の評価を受けている。そんなわけで蘇轍のほうは偉大すぎる兄の陰に隠れがちだが、自身も当代の大文学者であり、唐宋八大家の一として数えられる。進士にも兄とともに及第している。父親の蘇洵も唐宋八大家の一(ただし進士には合格していない。余談)。親子三人で大文学者なわけだ。蘇洵は老蘇学士、蘇軾は大蘇学士、蘇轍は小蘇学士と呼ばれ、あわせて「三蘇」と呼ばれる。『水滸伝』に登場するのは蘇轍で、小蘇学士の名前で登場している。で、その役割であるが、水滸伝最大の悪役である高毬(のちに高[イ求])を、端王(のちの徽宗)に推薦したのは王晋卿。その王晋卿高毬を推薦したのが、この”小蘇学士”蘇轍なのであった。ただそれだけ。作品中では悪役が大出世する手助けをしてしまっているわけだ。

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